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DCD AI Week: AIデータセンターの未来─その先に何があるのか?

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AIは電気や水と同様に不可欠な存在となりつつあり、もはやインフラそのものです。これがなければ競争力を維持することはできません。

Vertiv データセンター向けセグメント戦略および導入 バイスプレジデントMartin Olsen氏

DCD AI Weekの最終日、DCDのStephen Worn氏が、AI対応データセンターの構築および運用における課題についてディスカッションを行いました。このセッションには、Vertivでデータセンター向けセグメント戦略および導入を担当するバイスプレジデントのMartin Olsen氏と、TIRIAS Researchの創業者兼主席アナリストであるJim McGregor氏が参加しました。議論では、高密度ワークロードへの対応、運用効率の最適化、そして増大する需要に対応するための既存インフラの適応が主なテーマとして取り上げられました。

AIはテクノロジー業界や社会をどのように変えているのでしょうか。

Jim McGregor: AIは単なる技術の変化にとどまらず、社会そのものを変える存在になりつつあります。これまでAIは、モバイル機器のバッテリー管理など、目立たない形で活用されてきました しかし現在では、大規模言語モデルやAIエージェント、エンタープライズアプリケーションを通じて、日常のあらゆる場面に組み込まれています。その需要の伸びは驚異的です。トークン生成量は数兆規模から、2030年には数千兆規模へと拡大すると予測されています。さらに、画像や動画、ゲーム分野の成長はこの数値に含まれていません。こうした需要の拡大が、データセンターに大きな負荷をもたらしています。

AIインフラの大規模展開における最大の課題は何でしょうか。

Martin Olsen: 課題はスピードとスケールです。従来の導入プロセスでは、AIの需要に追いつくことができません。GPUは6〜9カ月で調達できる一方で、電力、冷却、ネットワークといったインフラの整備には24〜36カ月を要します。こうしたギャップを解消するためには、データセンターを“ユーティリティ”として捉え、コンピュートをパッケージ化された単位で提供する必要があります。Vertivでは、「コンピュートの単位(unit of compute)」という考え方のもと、電力、冷却、ネットワーク、ITを統合したモジュール型のプレハブシステムとして提供しています。このようなアプローチにより、導入期間を従来の数年単位から数カ月単位へと大幅に短縮することが可能になります。

データセンターがAI需要に対応しきれない要因は何でしょうか。

Jim McGregor: ボトルネックはもはやGPUではなく、データセンターそのものです。これまでのカスタマイズ前提の設計が、複雑さと時間の増加を招いています。今、求められているのは発想の転換です。標準化とモジュール化を進めることで、データセンター構築をゼロから作り上げるのではなく、事前設計されたコンポーネントを組み立てるようなプロセスへと変えていく必要があります。

モジュール化およびプレハブ化されたシステムは、どのように課題解決に貢献するのでしょうか。

Martin Olsen: プレハブ化により、現場作業の多くを工場に移すことができます。従来のように、設置や試運転、内装工事に数カ月を要するのではなく、標準化された構成要素を、検証済みの状態で導入できるようになります。このアプローチにより、導入スピードと品質を高めるだけでなく、スケール展開の見通しも立てやすくなります。データセンターは、サーバーと同様に捉える必要があります。すなわち、あらかじめ設計・構成された一体型のシステムとして、大規模に展開していくという考え方です。

Jim McGregor: まさにその通りです。レゴのブロックのように、ITポッドやEハウス、パワースキッド、ラックといった構成要素を組み合わせて構築していくイメージです。標準化を進めることで、導入のスピードが向上し、アップグレードも容易になります。

将来のAIワークロードに対し、データセンターはどのように準備すべきでしょうか。

Jim McGregor: 鍵となるのは柔軟性です。GPUだけでなく、量子やニューロモーフィックなど新たなプロセッサも登場しています。特定の技術に依存した設計では、短期間で陳腐化してしまうリスクがあります。そのため、データセンターはモジュール化され、ハイブリッド環境に対応できる設計である必要があります。また、停止することなく段階的なアップグレードや刷新が行えることも不可欠です。

Martin Olsen: だからこそ、インターフェースが重要になります。電気・機械・構造・デジタルといった各領域は、連携しながらも、適切に分けて設計する必要があります。これにより、一部の設備を更新している間も、他のシステムを止めずに運用を続けることができます。ラックあたり600kW以上へと高密度化が進む中、わずかな非効率や遅れでも、大きなコストリスクにつながります。

高密度化と電力需要の増加は、設計にどのような影響を与えているのでしょうか。

Martin Olsen: 電力密度は急速に上昇しており、600kW以上のラックも現実的になりつつあります。これに伴い、電源分配の設計にも新たなアプローチが求められています。たとえば、800Vや1,500Vといった高電圧のDCアーキテクチャへの移行です。電力変換の回数を減らすことで、より高い効率を実現できます。熱管理の面では、すでに液冷への移行が進んでいますが、さらなる高密度化に対応するためには、今後、新たな冷却手法の導入が必要になります。

Jim McGregor: こうした変化により、従来のサーバーラック設計は進化が求められます。従来の薄型サーバー(いわゆるピザボックス型)では、もはや対応しきれません。今後は、より高密度なブロック状のコンピュートモジュールや、まったく新しいポッド型の構成が主流になる可能性があります。

電力供給はどうなるのでしょうか。電力インフラは需要に追いつけるのでしょうか。

Martin Olsen: いいえ、電力インフラだけでは需要に対応しきれません。そのため、オンサイト発電やマイクログリッドが重要になります。天然ガスタービンに水素への移行を見据えたロードマップを組み合わせ、さらに先進的な蓄電技術を併用することで、エネルギーの自立性を高めることができます。グリッドを完全に置き換えるのではなく、ローカルの電力供給を組み合わせることで、稼働率と拡張性を最大化していくことが重要です。

Jim McGregor: このような理由から、ハイパースケーラーおよびコロケーション事業者は、自社発電への投資を進めています。安定的なスケールを実現するうえで不可欠な取り組みです。

既存のデータセンターは、AIに対応できるのでしょうか。

Jim McGregor: 多くの既存データセンターでは対応が困難です。実際、90%以上の施設が、NVIDIAのNVL72のようなラックに求められる重量、密度、電力要件に対応できていません。多くの高床式フロアは、その荷重を支えることができないのが現状です。改修で対応できる場合もありますが、AI対応の多くは新設によって実現されていくと考えられます。

Martin Olsen: ただし、すべてを新設(グリーンフィールド)にする必要があるわけではありません。既存施設の多くは、改修やマイクログリッドの導入によって対応可能です。一方で、AIの普及は運用の考え方そのものを変えつつあります。今後は、デジタルツインを前提に、施設を仮想空間上で設計・検証し、そのモデルを設計、導入、運用、最適化に至るまで一貫して活用していくことが求められます。

AI対応データセンターを構築するうえで、重要なポイントは何でしょうか。

Jim McGregor: 唯一変わらないのは、変化そのものです。チップからラック、そして施設に至るまで、あらゆるものがかつてないスピードで進化しています。需要は増え続けています。そのため、モジュール化や柔軟性、従来の考え方を見直すことが不可欠です。

Martin Olsen: 重要なポイントは3つあります。1つ目は、産業化です。データセンターを標準化された“コンピュートの単位”として捉えること。2つ目に、デジタルツインです。施設を最初からデジタル前提で設計し、その精度をライフサイクル全体で維持・活用すること。3つ目に、エネルギーの自立性です。マイクログリッドやオンサイト発電を導入し、増大する電力需要に対応していくことが求められます。

セッションの全編はこちら:AIデータセンターの未来:その先に何があるのか? - DCD


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